「お姉ちゃんおかえりー!」
キュアリンと別れた後、どうするか分からなかったがとりあえずアタイは弟の顔を見るべく家に帰った。帰るなり四人の弟が出迎えてきてくれ、奥の方に居る赤ん坊もスッと手を上げて振る。
「ただいま……お前ら昼飯は食ったか?」
「ううんまだ!」
「そっか。じゃあ昼はハンバーグ作ってやるよ! 豆腐じゃなくて牛肉のな!」
「えっ!? 本当!?」
弟達が目を輝かせ、キラキラした期待を込めた眼差しがアタイの体に当たる。
「前にセールで買えたからな。良いもの食わしてやるよ」
両親が共働きな分アタイがこうやって弟達の世話をしなければ、守らなければならない。
そのためには学校をサボって本来ダメなバイトだってするし、もし弟達がイクテュスに襲われたならキュアヒーローになれなくたって、敵がどんなに強くたって立ち向かうつもりだ。
「そういえば面白い話があってね! この前お姉ちゃんが気にかけてたえっと……朋花? って子の弟居るでしょ? その子がお姉ちゃんの宿題間違えて持ってきてたの! 面白いでしょー!」
「あぁあの子か……」
アタイが初めて天空寺と海原に出会ったあの件で助けた子のことだ。
あの時自分は翠の死に囚われノーブルこと桐崎に際限のない怒りをぶつけようとしていた。そんなところを天空寺に諭されて、それから天空寺と海原の二人を見て自分を馬鹿馬鹿しいと、こんなことアイツが望んでいるわけがないと考えを改めることができた。
(でも海原は……)
ひき肉をこねる手が止まる。あんなに明るい笑顔を浮かべていたアイツがつい先日、あんなにも簡単に死んでしまった。
翠もそうだ。前日はあんなにも明るく普通に話していたのにいきなり居なくなってしまった。みんな自分の前から消えていく。なんの前触れもなく急に。奪われていく。
(これ以上奪われてたまるか……!!)
バンッ! と強くひき肉を叩きつける。
「お姉ちゃん?」
「ん? あ、あぁごめんな。ちょっとお姉ちゃんボーッとしてたよ」
(なにやってるんだアタイは……こいつら心配させたら元も子もないだろ……)
こいつらを安心させて幸せに暮らさせるためには長女であるアタイが頑張らなければならない。なのにメンタルをやられてこいつらを心配させるなんて言語両断だ。あってはならない。
「ほらできたぞ昼